No.0012012.10.25
相続調査の否認事例
相続調査について
相続調査は8~12月に行われることが一般的です。相続税が課税される方は、全体の概ね4~5%と言われています。そのうち、相続調査が入る方は約30%です。ですから、調査が入る方は亡くなった方のうち1%程度になります。
さて、調査が入った方のうち85%の方が否認されて追徴税を支払うことになります。一件当りの平均申告漏れ金額は3~4千万円になります。決して小さい金額ではないですね。
名義預金・名義株について
相続調査ではどのような理由で否認されているのでしょうか。その大きな理由は「名義預金・名義株」と言われています。「名義預金」「名義株」とは、子供や孫の名義になっている預金・株式のうち、実質的には被相続人である親や祖父母のものと認定される預金・株式のことを言います。相続調査官は、名義が子や孫の預金・株式であっても素直に「子」や「孫」の預金・株式とは認めてくれません。その預金・株式がどのように形成されたのか、誰が管理していたのか、総体的に状況を判断して、「実質的な所有者」を判断します。そして実質的な所有者が被相続人であると判断される場合には、相続税が課税されることになります。
相続調査で問題にされないために
子供や孫が実際に働いて稼いだ預金やその預金で取得した株式について名義預金・名義株などとして否認されることはありません。否認されるのは大抵、親が所有していた預金や株式を子・孫の名義に変更したものになります。そこで、相続調査で問題にされないためには、親から子・孫に名義変更する際にしっかりとした手続きにより名義を変更することが大切です。
具体的には、贈与者がきちんと贈与の意思を表示して、受贈者が受諾することが必要です(民法549条)。幼い子供の場合には、親権者が変わって受諾することになります。そして、適正な手続きにより名義を変更し、贈与税の申告が必要な場合には、申告しましょう。同族法人の株式だったりすると、きちんと手続きをしていないケースが多く見受けられます。この手続きを失念したらすぐ否認という訳ではありませんが、同族株式の場合、取締役会の承認等の会社の定款に記載されている適正な名義変更手続きをしておく必要があります。また、株主名簿もきちんと整備しておきましょう。また、贈与税を贈与した方が支払っているケースがありますが、納税義務は受贈者にあります。贈与者の口座から贈与税を支払ってしまうと、当該金額に対しても贈与税が課されるリスクがありますので注意してください。
今までに行ってきたことを振り返って、対応しておけば防げる問題もありますから相続が発生する前に、調査において問題になる前に名義変更手続きについて確認しておきましょう。
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